辻斬り
「……まなみ?」

――助けてよお。

それは確かにまなみの声だった。

(でもなんで、足元からそれが聞こえるわけ?)

恐る恐る、そっと足元を見つめる。
めぐみの持っていた懐中電灯がほのかに照らす足元の霧は、薄い桃色にほのかに染まっていた。

…幻想的なその色。
この世のものとは思えない色。

――おかあさん……。

それを最後に、まなみの声は消えた。
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