辻斬り
「まなみ、いるの? まなみ――」
中は誰もいない。電気も通っていなく、懐中電灯の明かりだけが頼りだった。
懐中電灯をゆっくりと振りあたりを巡らせる。
冷えてきた。少し寒く息が白々しく漏れる。
はーはー、と息を漏らすのを少しためらいたかった。
何かがいたら、そしてそれに襲われたら、ひとたまりもない。

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