辻斬り
一人、村の中、鍵のような何かを握り締めたまま身を潜めていた戎徒は新たな気配を感じる。
廃屋の中で得た書物を月明かりを頼りに見つめながら、気配のありかを巡る。
あたりは枯れた一輪草に覆われていた。

追憶も、枯れ果てたこの場所。

誰かがいたのだろうか、慌てふためいているかのような乱雑な足音。がざがさがさ、とその音はだんだん近づいてくる。
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