辻斬り
「そこにいるのは――」
誰だ、と言おうとした。が、その声は「ひいいい」という情けない叫びにかき消される。まるで瀕死の鶏みたいな声の主は大熊だった。
「お前は――」
「わ! わ! わ! わ! こ、殺さないで」
「ちょっと待て。待て」
「だって、だって僕は見たんだ――おまわりさんがまなみちゃんを……」
「俺が、何をしたんだ?」
「お、お、おまわりさんが殺したあ」
「?」

おそらく、赤田の仕業だ。
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