辻斬り
そう言う赤田に対し戎徒はポケットから取り出したものを見せた。
「かむどの鍵ぃ……お前ぇ」
「廃屋の中でこの鍵で封印されていたこの村の秘密、急ぎ足とはいえ見させてもらったよ。お前ら一族みんな、何様のつもりだ?」
戎徒の手のひらに握られた何かの正体を見破った赤田はその言葉を聞きむなしく闇夜の天を覗く。

(さぁあなぁあ、生きるっているのはそういうんじゃないのかねえ)

自分勝手な笑顔をおぼろげな月に捧ぐ。
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