辻斬り
みんな、自分が思い描いたプラン通りに死んでいっている。
めぐみが死に、まなみも。では次にえみが死に、真犯人としてあゆみを祭り上げたら、自殺に仕立てる。
(その通りにことが運んでいる。しかし――)
そう。ここまでは自分が思い描いた順番どおりに彼女らは死に追いやられている。
もちろんそんな真相口にはしない。そばには鴻上とあゆみがいる。
(じゃあ、何か? あの酔っ払いの爺さんが話していた、のろいが本当に?)
ばかばかしいと紀伊は嘯いた。
これは赤田の仕業だ。決め付けてしまえば楽なものだ。
しかしどうしても引っかかるのは、灘が酔いどれに漏らしたあの言葉。
「俺の親父が兵吉を殺した……」
それが本当なら、わざわざ災いが降りかかりそうな村に帰ってきた理由は?
知りたい、いったいこの村に何が潜んでいるのか。日本全土を震撼させた霧の呪いの正体が何か。
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