辻斬り
「そうじゃないってどうして言えるの?」
「――そこに赤田が絡んでいるからだ」
握り締めた拳銃を強く見つめる。
「この事件は俺の手で終わらせる。俺も呪いを背負った一員だからな」
鴻上は赤田のためにすっかり変わってしまった自らの人生模様を話す。
「俺は昔刑事で、最後に追っていたのは赤田の事件だった。死んだ人間の数、止まらないサイトへの恐怖、一刻も争う事態は俺の生活を事件のみへと追いやっていった。家庭も顧みずにな――そして事件が終局を迎えようとしたあの日……」

刑事だったあの頃、思い返せばあの日も霧の濃い夜だった。

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