辻斬り
「お前はもう警察を辞めた人間だ。これ以上犠牲が増える前にとっとと退散願いたいがな」
「しかし……」
「この村は、呪われてる。霧の夜に出回る辻斬鬼の正体は村人のそれかと思っていた。だが現実は違った。この意識を持った霧はもはや人の頭じゃ物語れない……」
「意識を持った? それはどういう?」
「実は――」
前置いた上で灘はゆっくりと語り出す。
「嘘をついていたことがある。あの辻落としは形だけのものじゃねえ。村がなくなるまで、人殺しはずっと続いていたんだよ」
「どういうこと?」
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