辻斬り
ある日届いた郵便物が村に悲劇をもたらした。
半年前の消印、中を開けるとそこにあったのは絶縁の旨を知らせる息子からの一文だった。
如何ヶ峰の出身ということでひどいいじめや差別を受け、我慢をして医大を卒業したが今後のことを考えた際、縁を切ることで過去を断ち切り、普通の生活がしたい、と冷たい文体で綴られていた。
村長はひどく落胆した。
人として扱われぬ差別を憎んだが、まず医者を憎んだ。
辻落としは終らず、むしろひどい方向へと転じていったのだった。
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