辻斬り
「赤田の一族は、希望となるはずだった。しかし結局絶望に成り下がったんだ。赤田の爺さんや俺の親父たちが兵吉を殺したそれから、この村では兵吉の魂を鎮めるためにさらに何人もの子供を殺してきた。貧しい村の口減らしと称して、それは多くの子供をな。親父の墓に収めた槍はそれを物語ってる。だが一人それを拒んで逃げ出した奴がいた」
「逃げた?」
「それがこの俺というわけだ。親父は俺を逃がそうとして鬼と化した。兵吉にささげる身代わりの子供をさらっては殺してきた。次第に村に住む子供を持つ親たちは、わが子を守ろうと皆鬼と化していった。自分の大事なものを守れないくらいなら、戦って死んだ方がましだと。そしてついに、修羅場の始まりだ」
「村の人間が一斉に死んだのは、それが原因か……」
「真実を胸に秘めたまま俺は生きてきた。が、いつかはこの村に帰り、親父の墓に収めたあの槍で自ら命を絶つつもりだった。そうすれば、兵吉の魂が鎮まるんじゃないかってな」
灘は慙愧の思いで遠くを見つめた。
「逃げた?」
「それがこの俺というわけだ。親父は俺を逃がそうとして鬼と化した。兵吉にささげる身代わりの子供をさらっては殺してきた。次第に村に住む子供を持つ親たちは、わが子を守ろうと皆鬼と化していった。自分の大事なものを守れないくらいなら、戦って死んだ方がましだと。そしてついに、修羅場の始まりだ」
「村の人間が一斉に死んだのは、それが原因か……」
「真実を胸に秘めたまま俺は生きてきた。が、いつかはこの村に帰り、親父の墓に収めたあの槍で自ら命を絶つつもりだった。そうすれば、兵吉の魂が鎮まるんじゃないかってな」
灘は慙愧の思いで遠くを見つめた。