辻斬り
「親父、それでも俺は仕事だけは裏切らずにここまできたんだ。それは褒めてくれ」
呟いた言葉はどこまでも儚げだった。
「あんたの命ひとつで何が変わるって言うんだ?」
「親父の墓に行けば、槍が収めてあるはずだ。俺を刺すんだ。そしてこの禍(わざわい)を断ち切ってしまえ!」
「そんなこと出来るか!」
「まだわからねえのか!」
叫んだ瞬間だった。灘はその場で吐血し、ゆっくり崩れ落ちる。
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