辻斬り
「こんな、こんなはずじゃないんだ。仇が取りたかったのに……」
脅えながら変わり果てたえみを追い払う。
ほんの少しの度胸と、限りなき怨恨があれば何度蘇ろうが何度でも殺してやるとでも思えるものだが。
「いやだ、殺さないで……お前らが悪いんだあ」
ひたすら脅え命乞いをするばかりの紀伊に、えみは無表情で答える。
(あなたは殺されるのよ、私たちに)
無表情だったその目からは白い霧が湧き出、「きいいいい」とまるで蝙蝠のような声で嘶いた。そして足に転がる流木を拾うと、紀伊に向かって投げつける。
「ひいいい!」
バシャバシャと水しぶきを上げながら浅瀬を右往左往し化物から逃げ惑うしかなかった。
意地の悪い声が頭にうずく。
脅えながら変わり果てたえみを追い払う。
ほんの少しの度胸と、限りなき怨恨があれば何度蘇ろうが何度でも殺してやるとでも思えるものだが。
「いやだ、殺さないで……お前らが悪いんだあ」
ひたすら脅え命乞いをするばかりの紀伊に、えみは無表情で答える。
(あなたは殺されるのよ、私たちに)
無表情だったその目からは白い霧が湧き出、「きいいいい」とまるで蝙蝠のような声で嘶いた。そして足に転がる流木を拾うと、紀伊に向かって投げつける。
「ひいいい!」
バシャバシャと水しぶきを上げながら浅瀬を右往左往し化物から逃げ惑うしかなかった。
意地の悪い声が頭にうずく。