辻斬り
生きていたら自らきっと出向いたのだろう。
けれどもういない今、託されたことを果たさなければならない――その気持ちばかりだった。
泥だらけになり、足をとられよろめきながらも墓の中へ突き進む。墓標には誰々の墓といった名前さえも刻まれていない。
「墓場って、これ――」
あゆみが言葉に詰まるのも無理はない。
無機質、かつ乱雑に立ち並んだ墓標と卒塔婆の群れ。
狭い村のせいか同じ性の墓銘が立ち並び、久方ぶりに訪れた人間は見当も付かずに迷うことは間違いない光景だった。
個人の墓の多くの中にひっそりと立っている無縁仏。仏様がいくつも立ち並んでいる。あれはおそらく……。
けれどもういない今、託されたことを果たさなければならない――その気持ちばかりだった。
泥だらけになり、足をとられよろめきながらも墓の中へ突き進む。墓標には誰々の墓といった名前さえも刻まれていない。
「墓場って、これ――」
あゆみが言葉に詰まるのも無理はない。
無機質、かつ乱雑に立ち並んだ墓標と卒塔婆の群れ。
狭い村のせいか同じ性の墓銘が立ち並び、久方ぶりに訪れた人間は見当も付かずに迷うことは間違いない光景だった。
個人の墓の多くの中にひっそりと立っている無縁仏。仏様がいくつも立ち並んでいる。あれはおそらく……。