辻斬り
「赤田、良く聞けよ。人はな、生まれたときからもうどこにも逃げられないんだ。生まれたからには、胸を張って、きちんと立って、生きていかなきゃならない。それは自分のためだけか――いいや違う。少なくとも俺は間違っていた。だから娘を失ったこの苦しみからも逃げられない。だけど、この手に残ったほんの僅かなぬくもりだけが、あの子との絆で、生きたその証なんだ。この手は、簡単に人を傷つけるお前らを、決して許してはいけない感情のこもった手だ。この手でお前らを捕まえてやる。罪からは決して逃げられないことを、教えてやる」
「教えてみぃろぉよぉ」
赤田は鴻上の右足を拳銃で射抜いた。
「言いたいこと言ったらぁ、すぅぅっきりぃしたかぁ?」

なす術がない。
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