辻斬り
歓喜の声をあげ町にたどり着いてから、私たちはそのまま病院に直行。
大熊君は比較的軽傷ですぐに退院したことを人づてに聞いた。
彼もきっとそうだが私にとってもそう。
起きた出来事はいったいなんと話したら良いのか――はっきりしてるのは、そう。
みんな消えていった。霧の正体は明かされぬまま。
分からないことをいくら掘り下げても重荷になるだけ。
忘れようと心に誓い、新しい日々を探すことにした。

ただあのメールが届くたびに、そんな化物がいたんだということだけが、そこに残っている気がして――

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