辻斬り
「まあな。爺さんがこの近くにある村の出身だったからな」
「――村があるのか?」
「もう廃村だよ」

それを聞いて簡単にがっかりしてしまう。

「がっかりするなよ。とりあえず村の道を辿れば、町へ向かう県道へと出る。そこまで出れば――」
「ああ、そうだな」
「このままうかうかと戻って臭い飯を一生食うか、うまい事俺たちの死を偽装して新しい一生を手にするか、この一晩でその答えが決まる」

選択肢を前に、静寂が走る。

「…俺は命さえあればどこで生きようが構わない」
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