辻斬り
赤田はうろたえるように戎徒を見る。

「何で、そんなこと聞くんだ?」
「お前はまるでいるはずのない何かにおびえてばかりだ」
「何に、おびえてるって言うんだよ?」
「いるはずのない、なにかさ」

赤田はぎっと睨むと少し唇を震わせる。

「ふざけたこというなよ。お前も殺すぞ」

低い声色、その音調で、威嚇するように銃口を戎徒に向けた。
しかし戎徒の視線はひるまない。

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