霊感少女はお姫様!?
 

「いや・・・なんでもねぇ。」



仁はそういうと私の腕をひきながら



“快人の眠る場所”へと繋がる階段を上る。



階段の先には、海の見える丘がある。



そこに・・・快人は眠っている。



早瀬 快人



そうしるされた墓石の前に



私たちは立った。



持ってきた花束と、その隣にチョコレートを置く。



仁は先にお参りをすませて、『海でも見てる』



そう言ってどこかに行ってしまった。



私に気をきかせてくれたんだよね・・・



私はしゃがんでお墓を見上げた。



「一ヶ月ぶり・・・私もやっと高校生になったよ。」



今度は立ち上がってくるっと回った。



「どう?かわいいでしょ?星翔の制服。」



そう言ってまたしゃがみこんだ。



そして、また聞いてみる。



「ねぇ・・・私のこと・・・まだ好き・・・?」



返事はないって分かってるのに



聞きたくなってしまう。



風が吹いた



桜混じりのピンク色の風・・・



そして、その風の中にまぎれて聞こえてきた・・・



   “返事”



「好きだよ・・・沙良・・・」




・・・え?



聞こえるはずのない・・・



私が大好きだったあの甘い声。



空気がかたまり、温度が一気に下がった。



私はゆっくりと後ろを振り返った。



「か・・・快人?」



そこに、私の愛する人がいた。



早瀬 快人  【ハヤセ カイト】



「なんで?天国に行ったんじゃないの?」



私はその場に立ち尽くしていた。



快人は私を見つめている。



すごく・・・すごくつらそうに・・・



















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