添い寝執事
「お嬢様、お目覚めの時間ですよ」
カーテンが開いたと同時に差し込まれる光。
眩しさに目を細め、布団に潜り込む。
昨日の雷が嘘のような快晴。
昨日……
そのワードにぼふっと顔が熱くなる。
「か、要……??」
そっと布団から顔を出して、要の様子を伺ってみると、完全にスイッチOFFのにこやかな優しい笑顔。
「どうかなされました?」
昨日のこと、覚えてる?
そう聞きたかったけど、やめることにした。
墓穴を掘ってしまいそうだったから。
要のドSスイッチを入れてしまいそうだったから。
昨日の夜のことは、怖い話と一緒に……
引き出しにでもしまっておこう。
『ルナ、愛してる』
いきなり頭の奥で響いた、要の意地悪でかつ甘い声。
あれは……
夢だったのかしら?
今でも耳に残るリアルな響き。
「なんでもないわ」
そう笑顔を浮かべるあたしに、要は不思議そうに顔をしかめていた。
>>fin*