俺と彼女と、ご主人様。【BL】


「ああ、そうですね。
 これどうぞ」

そう言って島津さんは紙袋を差し出した。

「ありがとうございます」

「箱のはお菓子なんで、ご家族でどうぞ」

「全員甘いもの好きなんで、
 ありがたくいただきますね」


「あと袋の方は貴方にですから」

紙袋の中を覗き込むと、
箱と、口を閉じられた紙袋が見えた。

「ありがとうございますー何だろ」

「アンナとお揃いですよ」

軽くドヤ顔をしている島津さん。


「本当ですか?!
 ありがとうございます!!」

思いっきり喜ぶと、彼は微妙な顔をした。
渡したお土産に喜ばれて、
一体何が不満だというのだろうか。


「アンナ!お揃いだって!……って」

そうだ、彼女はさっきお姉さんと
家の中に入ったんだった。

きっと、2人でガールズトーク
なるものをしているんだろう。
女子会開催中でも可。


「……喜びの表現で抱きつく相手がっ
 いませんでしたっ!」

恥ずかしい!
ので、とりあえず照れ笑いを浮かべる。


「俺に抱きついてもいいですよ」

「……え?!」

軽く両腕を広げている島津さん。
なんだ、この状況。

それにこの人、こんなキャラだったっけ?


< 36 / 75 >

この作品をシェア

pagetop