俺と彼女と、ご主人様。【BL】
無言のまま島津さんの部屋に連れてこられ
ドア付近に座らされた。
ベッドからは遠いので、普通に過ごせる。
因みにアンナは、さらに遠く、
部屋の隅でお座りしている。可愛い!
「じっとしててくださいね。
凄い絡まり具合なんで……」
島津さんは俺の向かいに座り、
ブラシ片手に俺の頭をホールドしている。
そしてすぐにブラシを、
目の粗いクシに持ち替え、俺に言った。
「これ犬用ですけど、アンナのなんで
まったく気にならないですよね?」
「はい!もちろんです!」
当たり前じゃないか。
そして島津さんも、ですよねーと
最初から納得顔で頷いている。
そのままクシで粗方ほぐし終え、
またブラシに戻して、梳かし続けている。
「……何かアンナのブラッシングしてる気分なんですけど……」
「気持ちいいですよ、ブラッシング!」
つまり、アンナと同じ事をされているのか!
何それ、めちゃくちゃ嬉しいんですけど!
「……よかったですね」
思わず笑いながら彼の顔を盗み見ると、
なんとも言えない複雑といった表情だった
だけどそれでも笑顔ではあるので、
まあいいとしよう。……苦い顔だけど。