貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜
「それって…誰?…とか聞いちゃダメかな?」
喜多山さんの声はとても、震えていた。
……可哀想に…。
六穏時…ヒドイ人だ…。
彼女の子だって、こんな告白を見てしまったら耐えられないだろうに…。
「彼女…。うん。教えてあげる。」
「だ、誰…?」
「鎌等夏那だよ。俺の隣の子。」
…へぇ…鎌等夏那……
…なつ…
あたし……?
あたしだよ…!
「そっか…鎌等さんか…。あの子可愛いもんね。」
いや、全然可愛いくないから!
ツッコミたいけれど何せ、こんな状態の中で声も出せるはずもなく、黙るしかない。