貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜



「それじゃあ…また明日。」


走りながら帰る喜多山さんはあたしにも見えた。




緊張が解けたように、安堵のため息がつく。


「鎌等。」



その緊張は再び戻ってきて、はっ、と背筋が伸びる。


「人の話を聞こうとするなんて、かなりの悪趣味だな。」


さっきのように、姿を見せないで、声だけが聞こえる。


「あの、下駄箱…帰ろうとしたら…喜多山さんがいて…。」


なんか…話がまとまっていない。


「だから…そこにあたしの靴があってですね?…「要するに、お前の靴がある場所に俺達がいて、隠れたと。」


「………そういう事です。」


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