貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜
…なんだか…ムカムカする。
ただでさえ…迷惑しているのに…。
「お前、借りを返せ。」
借り…?
「どのような…?」
そんな……助けられた時なんて無いような?
むしろあたしが日頃の迷惑を借りとして、返してもらいたいくらいだ。
「さっき、俺の友達だって言って、誤魔化した。」
…あ、そうだった。
助けられたばかりだった…。
でも……どうやって返すの?
「六穏時江緑?」
「なんだよ。」
「どうしたらいいの?」
何も出来ないんですけど…
しいて捧げるならば、あたしの運の悪さしかあげられない…。
「お前は…」
突然口を開いた六穏時江緑の言葉にあたしは開いた口が塞がらなかった。
「……俺の彼女になる。」