貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜
「どうしたの?夏那。」
誰かがあたしに呼び掛ける。
優しい口調で。
「大丈夫…ありが……いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ありがとうと言おうとしたのだけれど、途中で悲鳴が…。
だって、だって!
「六穏時江緑!」
だったんだもん!
「彼氏に悲鳴とか…酷くない?」
彼氏…
その言葉にあたしは絶句し、周りの皆は「キャー」と顔を赤らめる。
六穏時はあたしに微笑んでいるが、……目が死んでいる。
「あのさ、」
と突然、六穏時が口を開く。
そして、あたしの耳元に、唇が触れるくらいに近づく。
皆は固まって、あたし達を凝視。
あたしも固まる事しかできない…。
「お前、俺の本性言ってねぇだろうな?」
ビクッと反応しながらもあたしはコクコクと頷く。
言おうとしたけど…。