貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜
そこからは、ずっと江緑君はあたしのペースに合わせてくれて、とても嬉しかった。
あたしの家が、見えてきた。
「江緑君。」
「あ?」
「もう、そこだから大丈夫です。」
そう言ったら、江緑君は立ち止まって辺りを見回す。
江緑君て、背高いなぁ…
あたしの目線よりも高いから周りがよく見えるんだろうなぁ…。
そう考えながらじっと見ていたら、江緑君がこちらを見てきた。
さっきからそうだけど…
真顔。
ポーカーフェイス?
いや…面白くない人なのかも…
でも…この人、変なこと思い出すとニヤリって笑うよね…?
ただの悪魔なだけ?
「なぁ……」
低い声が頭上から降ってきて思考から現実へと呼び戻る。
「なんですか?」
「お前の家どこ?」
え……
「だから近くに……」
「家まで付いて行く。」