人魚姫の嘘


「はぁー!!!」


なんとか着いた砂浜


周りには特に何も
建物はなく
あってもボロ屋で


人間の気配もしない


でも、さすがに疲れた


いったいどれだけ
泳いだだろう



「……っ……」


!!


「死んでないのね…
良かった…」



息をしていた彼は
少し顔に傷ができものの
本当に綺麗な顔立ちだった



そっと…彼の頬に手を当てる



トクン…トクン…



私の鼓動が速くなるのが
分かった



「貴方はどこに
住んでいるのかしら…
きっともう会えないわね


でも私はずっと覚えているわ
貴方も…忘れないでほしい私のこと


私は、リースよ…」



浜の向こうで人の
声がする


きっと彼を迎えにきたのね



「さようなら」



そう言って
私は海の中へと潜った






私の心を奪っていったのは



人間。



だなんて



私の生きていくうえで
ありえない事だと
思っていたのに




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