人魚姫の嘘


『そんな顔をしている場合ではない
さぁ…歌え。
とにかく声を出すのだ』



言われるがままに
私は歌った



すると魔女は自らの手を
開き、グッと握った


まるで何かを掴むかのように



その瞬間
私は歌えなくなった



声が出ない。



『フハハハハ!!
よし。これで良い
今から簡単に説明しよう

その薬の飲めば一時的に
人間の姿になれる
だが…永遠ではない。
永遠を望むなら好きな人間と
恋に落ちキスをしろ』


私は眉を下げて
困った顔をした



『猶予は3日だ
3日目の日没までに
キスをしなければお前は
その場で徐々に人魚に変わる

いや。はっきり言おう
お前は死ぬ


その後は…
ワタシのモノだ』



―ドクン



こんなにも
デメリットがあるなんて




……仕方ないか




私はこれで
人間になれる




『さぁ行け』




頷き地上へと泳ぐ




きっとこれが
泳げることの出来る
最後の刻だろう




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