人魚姫の嘘

階段を降りても
王子の姿は見当たらない


あれれ…


グダグダしてたら2日なんて
あっと言う間よ…



そこへナンシーが
シーツを持って歩いてきた


仕事かな?


「あら!おはようございます
こんなところで
どうしました?」


紙とペンはいつでも
持ち歩くようにしている


《王子を探しているの》


少し恥ずかしかったけど
書いて見せた



「…お部屋にいると
思われますよ…
…リース様のお部屋の
向かいです」


トーンが下がった…



《どうかしたの?》



「いえいえ!
リース様は王子を親しんで
おられると思いまして…」



ちょっと赤くなる…



私の顔を見ると
何故かナンシーは
悲しい表情をした…



私は気にしなかったけど



そのまま王子の部屋へ
行こうとした


そしたらナンシーが


「あ!今は…
行かない方が…



良い…かもー…しれない?」


曖昧な言葉に
私は自分のリミットを
思い出した


そんなこと…
そんな曖昧な言葉
気にしちゃいられない



バッと走って
階段を駆け登り
部屋の前まで来た



ドアノブに手をかけようと
した…その時…



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