人魚姫の嘘


全てを話した日から
しばらく経ったある日。



家のキッチンで
紅茶を片手に曇った顔をしたマリアがいた


「マリア、どうかした?」



肩をピクリと揺らすと
笑顔になった



「え?…別にちょっと」


「何か悩んでるの?
だったら話してよ。
家族でしょ…」


「うん。...そうね
実はアタシが孤児の子供を
助けて、その仕事の寄付は
いつも国から出ていたの
でも最近…王様の命令で
寄付が滞っているらしいのよ…」


「え…それじゃあ」



「うん…寄付が無きゃ
アタシ達は生きていけない
なんたって、大家族だし
学校へ行く費用も無くなるから…
勉強出来なくなるのよ…」



「……そんな……」


「もしかしたら、
この家も売り払って
皆別々の生活になるか…
住む家無しで生きていかなきゃならないかも…」


「そ…そんなの嫌よ!!
皆別々の生活って…
王様の命令?腐ってるわ!!
反抗したら「無理よ」


「相手はこの国の王様よ?
そんな人に歯向かったら
殺されるだけ」


「………でもこのままじゃ」


助けてもらった
マリアを、皆を
守ると…あたしは決めたんだ


だったら何としても
この事態を解決しないと



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