人魚姫の嘘
大きなテーブルのイスに
あたしを座らせると
「サラ、俺はこうゆう事を
グダグダさせる気は無いから、
改めて言いたいんだ。
助けてくれてありがとう
サラが居なかったら
俺は死んでた」
どき…
真剣な…真っ直ぐに
あたしを見る王子の瞳が
何だろう…照れる
それに正確には
あたしではないけれど
《サラが居なかったら》
この言葉が…とても嬉しい
……これは今更
嘘とは言えないし
それに
今あたしは
嘘をつきたい。
「いえ、倒れている人が居たら
助けるのが当たり前ですから!
ご無事でなによりです」
嘘を…ひとつ、またひとつ
と…
つき続けるのに
嫌な気分にはならなかった