人魚姫の嘘
「じゃ…結婚は?
運命の人とするのか?」
「…でもあたしなんかに
運命の人は現れるのでしょうか」
「あたしなんかって
言うなよ
サラを好きになる男は居るさ」
「そうですか?」
「………なぁ
その男がさ…
俺だって言ったらどうする」
夕日が沈みかけ
最後の光が海に消えようとしていた
波があたしと王子の足を濡らした
「うわっ!」「きゃっ!」
おもいっきり立ち上がると
足がふらつき咄嗟に
王子に支えてもらう形になった
「王子……」
沈黙を破ったのはあたし
「……あたしの……
運命の人は貴方…です」
そう言った瞬間の王子の顔は
今日見た夕日よりも
ずっとずっと
綺麗だった
……………もぅ
今の自分の気持ちが
分からなくなっていた
嘘なのか真実なのか
でもどうしようもないの
これはあたし自ら
選んだ運命なのだから