ロマンチストガール
凜side
いきなり私に近づいてきた男は、桐谷昂といった。
はじめは、なんて軽はずみな男って思ったけど、だんだん何だか謙虚で面白い人だなって思った。
『ジュースを奢る』なんていうから、ついて行くと、サイダーを3本も買ってきて、『お小遣いを使い果たした』なんて言った。
150×3は450。
お小遣いを450円しか持ってないなんて、小学生みたいだけど、なんだかかわいくて、自然と笑うことができた。
さっきのことなんて、すっかり忘れて――…。