Dear.
苦しい幸せ
紫さんが度々部屋を訪れて
あたしの様子を伺っては帰る。
1日に3回来たりする日もあった。
「 紫さん? 」
「 予定日が過ぎてるから
いつキたっておかしくないの! 」
あたしよりピリピリしてるのは
それだけ心配してくれてるってことで、
眉間にシワを寄せて忙しそうに
家の中を走り回る姿を見て笑ってしまった。
「 当の本人がこれだけ余裕だと
余計に心配になるのよね~・・ 」
あたしの向かい側のソファに座って
少し大きめの溜息をつく。
山本くんとはうまくいってるようで
左手の薬指には綺麗な指輪が光っていた。
「 やっぱり苦しいのかなぁ・・ 」
「 怖いの? 」
「 怖くないって言ったら嘘になるけど
・・・苦しいの度合いがわかんないから
よくわかんない・・ 」
「 これだから天然は!!!! 」