ただ君だけを想う。
そんな私の気持ちを知らずに愁ちゃんは尚も私に言葉を続ける。




『祐樹は優しいし、』



『カッコいいし、』



やめてよ、私は…、


そんなことを愁ちゃんから聞きたいわけじゃない。



でも愁ちゃんはそんな私の気持ちすら気付いてくれなかった。



極めつけは、


『マジでイイ奴だから、絶対付き合ったら幸せにしてくれるよ。』




私を何処までも谷底へ突き落とすような、


そんな言葉だった………。











「な…っんで!?何で、愁ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないの?!」


気付けば声を荒らげてそう愁ちゃんにぶつけていた。



『海音…?』


そんな私に愁ちゃんはいつになく驚いていた。


それを見てまた私は、傷つく。





「酷いよ、愁ちゃん…」


やっぱり愁ちゃんは、
私のことなんてどうでもいいんだね。


もう私が愁ちゃんのこと好きじゃないと思ってるの?





「私は…、」


愁ちゃんに女の子として見て欲しくて、
お洒落だってメイクだって自分なりに努力してきた。


愁ちゃんにいつだって可愛い女の子として、
見てもらいたかった。




いつだって、
私の心の中にいたのは、




「私が好きなのは、
愁ちゃんだけだよっ―――…!?」



愁ちゃんだけなのに――…。



愁ちゃんにはそれさえも、
届かないの―――…?






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