ただ君だけを想う。
関係が壊れるのが怖くて、
あの日以来私は愁ちゃんに気持ちを伝えることはなかった。


なのに、つい言ってしまった。


愁ちゃんは、


『………』


びっくりした顔をしている。


ほんと、鈍いよね。


しかし私も何も言うことが出来なくて、
二人の間には気まずい雰囲気が。


『海音…、』


それを先に破ったのは愁ちゃんで、
私は何を言われるのか考えながらも顔を上げることは出来なかった。


『俺は…』


その続きの言葉を聞きたいような、
聞きたくないような。


相変わらず顔を上げずに目をぎゅっと瞑った。



と、その時、


「お待たせ~っ!」


聞き慣れた理央のテンションの高い声がして、
見るとお店から皆が出て来ていた。


皆が出て来たのを確認した私は、
また気まずくなって俯いた。


「………」
『………』


私は、ホッとしていた。


やっぱり私は返事を聞くのが怖くて前に進むことが出来ない、ヘタレだ。


「二人とも…、どうかした?」


茜が鋭く質問する。


『何かあったのかよ?』


それに引き続き拓海くんが質問して来た。


それに何とか笑顔で答える。


「何でもないよ!」


その後も皆でショッピングモールを回ったけど、

せっかく楽しかった買い物は、
どこか気まずい雰囲気が漂ったまま幕を閉じた。


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