ただ君だけを想う。
下駄箱に着いて靴を履き替えた後、正門への道を一人歩く。


周りは楽しそうにしているけど、私には何も聞こえなかった。


だけど、


「………っ、」


正門の壁に寄り掛かって立っている人物を見て、私は目を見開いて立ち止まった。


「ど…して?」


『うーん、声聞いたら今度は会いたくなったから?』


また、彼はストレートだ。


「柏木く…ん、」


私とは違う制服を来た柏木くんが、何故か正門に立っていたのだ。


『公園行かない?』


という突然の提案に乗って、私と柏木くんは近くの公園へ。


学校の正門では、目立ち過ぎるから良かったと思う。


公園のベンチに座ってすぐ、柏木くんが言葉を発した。


『どんな話でも海音ちゃんの話なら、いくらでも聞くよ?』


柏木くんに優しく問われると、何故か堪えていた物が溢れて、


「うわぁぁぁんっ…」


私は、堪えていた涙を、もう止められなかった―――。


私のことを好きと言ってくれる柏木くんに私は抱き締められながら、泣いていた。


< 165 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop