ただ君だけを想う。
ふとそこで思い出したことを声に出した。


「茜はそういえば、愁ちゃんと拓海くんと同じクラスだったよね?」


「…そういえばそうだったわ。」


そんな私の問いにそんな答え方をする茜。


「ちょっと茜さん、忘れてたんですか」


そう突っ込みながら、茜らしいと思っていた。

愁ちゃんや(一応)拓海くんはかっこいいということで人気がある。


そんな彼等と同じクラスになりたいと思う女子はやまほどいるのだが、そこは茜。


「なんで私が愁斗だけでなく拓海と一緒なのよ!?」


全く興味がないよりも、放課の度に彼等を見に来る女子が鬱陶しいと文句を言っている。
しかも普段は静かな愁ちゃんは良いとして、何かと絡んでくる拓海に茜は勘弁してほしいらしい。


「はは、その情景が目に浮かぶよ…」


拓海くんが聞いたら泣きそうだな…と私は密かに思っていたけど、茜の気持ちには共感出来てしまう。


「そんなことより!海音は柏木くんでしょーが!」


どうにか私と柏木くんの話に戻したいらしい理央がそう言った。


「理央…」


苦笑いしか出来なかったけど、確かに私には柏木くんとの記念日と、お泊りについて考えなければいけない。


その後は主に理央から柏木くんとのことを根堀り葉掘りと問いただされるという大変な時間を過ごしたのだった。


でも、記念日のことやお泊りのことを相談出来たので良かった。





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