ただ君だけを想う。
次の日、私はいつも通り学校に行き、クラスへ向かうべく廊下を歩いていた。

3Aの教室は階段を上った左手の一番奥にある。
A、B、C、D、Eクラスが左手で、階段を挟み、右手がF、G、H、Iクラスとなっている。


右手側のクラスには普段は行かないけれど、理央がFクラスのため、たまに行くことはある。。


そして、私が自分のクラスに向かう時や、移動教室の場合、Eクラスを通らざるを得ない。


けれど今の所、昨日話題に出て来た彼等と会うことは無かったので今日も普通にクラスへ向かっていたのだが。


「あ…っ、」


思わず声を発して足が止めてしまった。


Eクラスと階段の距離はほとんど無い。そのため今更隠れるとか、引き返すということが出来なかった。


「(というか、ここで逃げ出したら可笑しいでしょ…)」


そう思ってる内にも私が見つけてしまった人物がこちらとの距離を縮めるように歩いて来た。


「(何を、話せば良い…?)」


私がそう頭の中で考えている際も、どんどん近づいていく距離。

それはあっという間に無くなっていた。


『はよ…、久々、だな?』


向こうも私に気づいていたらしく、聞き慣れていた声で話しかけられた。


でもやっぱり、前とは違う。
おそらく向こうも戸惑っている。


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