ただ君だけを想う。
「あ、茜…おはよう…。今、拓海くんに何をしたの?」


「いや~朝からうっとうしい奴がいるなと思ったら、咄嗟に手が、ね。」


手が、とは言ったけど、音が尋常じゃなかった。
もしかしなくても、茜が持っている鞄で拓海くんをど突いたのでは…。


怖いから聞くのは止めておこう…。


それに、拓海くんはいつも自業自得だ。


『成宮、ナイス…』


愁ちゃんがそう言った。


「でしょ~?ふふ」


不憫だとは思うけど、助けてあげるとまためんどくさいので拓海くんは放置だ。
まあ、放置しても結局はめんどくさいのだけど。


『俺ってとっても可哀相…』


『お前が悪い。』


でもね、何となく分かるんだ。拓海くんが、あんな風に声をかけたのはわざとだって。


私と愁ちゃんの気まずい雰囲気を感じ取ったから、でしょ?


まあ、そんなこと本人には言わないけどね。


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