ただ君だけを想う。
『素直な感想言っただけだけどな。』


そう言って彼は…
また桜を見上げていた。


「うーん、そっちは“秀ちゃん”って感じ!」


いつもの人懐っこさを取り戻して、


桜を見上げている彼に思わずそう言っていた。


特に理由なんてないけど、何となく普通に名前呼ぶんじゃなくて…


“秀ちゃん”って呼びたくなった。


ただそれだけ。


『初めて言われた。そんな女みてーな呼ばれ方。』


「やっぱりダメ、かな…?」


さすがにそう呼ばれるのは恥ずかしいよね…。


そう思って少しシュンとなった私を見て、


彼は楽しそうに言った。



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