ただ君だけを想う。
『あれ、ほんとだ。海音何してんの?』


え……?


聞き慣れた声に顔を上げると大地だった。


「大…地、」


桜田 大地(サクラダ ダイチ)。私と花音の幼なじみ。

ちっちゃい頃から一緒だからもう家族みたいな感じ。


私が愁ちゃんを好きなことを知っている。

私が言う前に気づいていた。


大地は数少ない相談相手でもある。


私にとっての男友達は大地しかいない…。


愁ちゃんを男友達なんて思ったこと…

ないのに…――。


『海音…?』


多分大地は気づいたよね。

勘いいし。


「愁ちゃんの、練習に付き合ってたの。」


『そうだったんか』


『あぁ。つか、大地、海音と知り合いだったのか?』


『海音とは幼なじみなんだ。』


『そうだったのか。』


「愁ちゃんこそ…大地と仲良かったんだね…」


あんまり一緒にいるとこ見たことなかったから知らなかった…。


大地も何にも言ってなかったし…。


知らずに相談してたんだ…私…。



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