Good-bye my lovely boy
気を紛らわすために
イヤフォンのヴォリュームを更に上げる。
きっと外にも圧巻のビートが
盛れているのだろうと梓は思ったが
それも今日は放っておく。
瞼を閉じて流れる音に
身をまかせた。
梓はこうして誰にも干渉されない
自分の世界に浸る時間が
たまらなく好きだ。
1人が好きな訳ではないが
こうして居ると無駄な思考を
止めることができる。
あと2つ程で高校の最寄り駅に着く。
と言うところで梓の世界の
そのむこうから
流れる音を断ち切るように
喧騒が聞こえた。
梓は世界から引き揚げられたことに
不快感を抱き、瞼をうっすら開き
その瞳を喧騒の方へ向けた。