幼なじみはだめですか?
「……なんで」
「………フラれた。」
「………そう…」
「……春休みの間に、男作りやがった」
「…………それは、よくない」
「…好き、だったのに」
…………聞きたくない。
健都が、あたしを好きになってくれればいい…
健都が、健都が、こんなにも取り乱すなんて。
健都の心を、ここまで取り乱せるなんて。
あの子がうらやましい。
「健都…」
「………早く帰んないと、おばさん、心配するよ。」
「………っ…馬っ鹿じゃない…………。」
勢いよく、健都の部屋を飛び出し玄関に向かう。
玄関を出ると、そこにはちょうど練習帰りの開都。
「みきちゃん……?」
「……お!ただいま、早かったね」
「みきちゃん…泣いて」
「じゃっ!また」
開都の心配そうな顔を無視して、家に逃げ帰った。
健都の馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。
明日から…どうすればいい。
あたしたちは…なに?
幼なじみ…から、なにに変わってしまったんだろう。
それから二週間くらいは口を聞かなかったけど、どちらかともなく私たちはいつもの関係に戻った。
まるで、なかったかのように。
でも……
健都が彼女と別れるたびに…
私は抱かれる。
逆らう理由は、いくらでもあるはずなのに。行為は進む。
あたしは…いやらしい女なんだろうか。
でも、健都の悲しそうな目を…無視できないんだ。
健都の、甘い表情を…どこかで欲していて。
それでも…行為が終わると…
罪悪感と
後悔しか残らない。
***
君はあの日、何を思っていたの?
私はいまだに考えてしまう。
もし、あの時、“好き“と伝えなければ
あたしたちはまだ、
普通の幼なじみ
で、いられましたか?