幼なじみはだめですか?
か こ *
夢を見た。
幸せが、一瞬にして崩れた
あの日の夢を。
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「健都っ!」
高校の入学式。真新しい制服。
クラス替えの紙を見ている健都に飛びつく。
「うっとーしーわ!」
「いやー、人多くて見えないし、健に乗っかれば見れるかな、と」
あのときの私は純粋に健都が大好きで。
健都さえいれば幸せで。
幼なじみとゆう立場を利用して健都にくっつき回って行動していた。
中学から一緒だった友達たちには「朝からお熱いね〜」だとか「付き合えよー」
なんて言われ、あたしは一人。舞い上がっていたんだ。
「三樹!!」
一年生の夏休みが終わる頃、部活帰りにあたしの家に上がりこむ健都。
「どうしたー?」
そんな些細なことが嬉しくて、上機嫌な私。
「あのさ、俺、」
「なんだよなんだよ〜」
「彼女、できた!」
・・・・・・・え?
「…三樹……フリーズしてるけど…大丈夫????」
「……え、あ、うん。あ、ごめん。なんか、ビックリした!
あたしたちもそんな年頃なんだね」
「年頃って、ババクサ!
三樹はお子ちゃまだから彼氏なんか当分できなそうだけどなぁー」
ニヤニヤしながら
いつもの調子で言ってくる健都。
あ、この人は。
この人は、あたしの気持ちを冗談かなにかだと思っていたんだ。
ラブ、の意味ではなくて ライク なんだ。
健都にとっても、あたしは、そこ止まりなんだ……
「……健都?
………おめでとう!」
なら、あたしも。
健都を精一杯、祝福しなきゃいけない。
満面の笑みをあなたに送った。
あなたの大好きな手で私の頭をくしゃくしゃと撫でながら「さんきゅ、」
と。あなたは呟いた。
生まれて初めて…、
幼なじみという距離の近さを憎く思ったよ。