勇者様と従者さま。
2*聖剣

俺の悪い予感は当たるんだ。

 魔物を追跡に行かせた剣士たちが戻ってきて、魔物が消滅したことと、この先に荒らされた村があるらしいことを告げた。

「さっきの魔物かもしれませんが、かなり荒らされています。人はまだいくらか住んでいるようです」

 と、剣士の一人が報告する。


「うん、行ってみましょう」

 エヴァが微笑む。

「いいですよね、従者さま?」

 アーサーもその報告が気になっていたので頷く。


「…しかし、いちいち従者の許可をとる勇者がどこにいる」

「ここに!」

 アーサーはエヴァを馬から蹴落としたい衝動にかられた。

 討伐隊の面々は早くも慣れたのか、二人のやり取りを生温い目で見守っていた。



 そんなわけで、一行は件の村へ向かった。

 確かに、道のまわりは少し荒れている。

 小一時間ほど進んだころ、エヴァが声をあげた。

「村ですー!」

「さっきも思ったが、エヴァ様は目がいいな」

「そうですかあ?」

 そろそろ到着という嬉しさで、一行に明るい空気が流れた。


 しかし、村に近づくにつれて皆無言になっていく。

 そこかしこに魔物の爪痕が見え、廃墟と言われても驚かないような有様だったのだ。

「ひどい…」

 魔物を見たのも初めてならその被害を見たのも初めてなエヴァは衝撃を受けてつぶやいた。

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