勇者様と従者さま。
プロローグ
ある村娘の災難
最近魔物が多いとはいえまだまだのどかな辺境の村である。
あどけない少女が、牛乳を運んでいた。
重いのか、若干よたつきながら進んでいく。
額に汗。
十人並みの域を出ない程度にかわいらしく、平和な雰囲気を身にまとっている。
たっぷりした膝下丈のブルマースというごく普通の作業着が似合う、平凡な少女であった。
物語に登場するなら名もなき村娘、といった役どころであろう。
「…重いー」
少女が腕の痛みに耐えかねて弱音を吐いたとき、遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。
少女は飛びあがる。
「ごめんなさいごめんなさい!さぼってません!!」
牛乳瓶をもう一度持ち上げて走り出す。すると向こうからも恰幅のよい女性が走ってきた。
いつもおおらかな彼女にしては珍しく慌てている。
「おばさん?どうかしました?」
呑気に問い掛ける少女の手から牛乳瓶が奪いとられた。
限界が近かった少女にしてみれば救世主だ。
「ほら、これはあたしに任せて急ぎな!」
「ええ?」
「王都からお使いが来てるんだよ。あんたをお呼びだ」
「ええー!」
少女ののほほんとした顔に驚きが走る。
王都からお使いが来るような心当たりなんかまったくない。そんなに悪いこともしていないし。
生まれてこのかた清く正しく平凡に生きてきたただの田舎娘なのだ。
そんな物語みたいなことが自分に起こるはずはないのだ。
目を白黒させながら少女は走り出す。
その先に、何が待っているかも知らず。
あどけない少女が、牛乳を運んでいた。
重いのか、若干よたつきながら進んでいく。
額に汗。
十人並みの域を出ない程度にかわいらしく、平和な雰囲気を身にまとっている。
たっぷりした膝下丈のブルマースというごく普通の作業着が似合う、平凡な少女であった。
物語に登場するなら名もなき村娘、といった役どころであろう。
「…重いー」
少女が腕の痛みに耐えかねて弱音を吐いたとき、遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。
少女は飛びあがる。
「ごめんなさいごめんなさい!さぼってません!!」
牛乳瓶をもう一度持ち上げて走り出す。すると向こうからも恰幅のよい女性が走ってきた。
いつもおおらかな彼女にしては珍しく慌てている。
「おばさん?どうかしました?」
呑気に問い掛ける少女の手から牛乳瓶が奪いとられた。
限界が近かった少女にしてみれば救世主だ。
「ほら、これはあたしに任せて急ぎな!」
「ええ?」
「王都からお使いが来てるんだよ。あんたをお呼びだ」
「ええー!」
少女ののほほんとした顔に驚きが走る。
王都からお使いが来るような心当たりなんかまったくない。そんなに悪いこともしていないし。
生まれてこのかた清く正しく平凡に生きてきたただの田舎娘なのだ。
そんな物語みたいなことが自分に起こるはずはないのだ。
目を白黒させながら少女は走り出す。
その先に、何が待っているかも知らず。