勇者様と従者さま。
「そこで何をしておいでかな」
唐突に、背後から声がかかった。
エヴァは驚いて振り返る。
「ステファン、様…」
そこにいたのは、初老の司祭。
「足音がしましたので。若い娘がこんな深夜に歩き回るのは感心しませんな」
「ご、ごめんなさい…」
ステファンは柔和な微笑を浮かべた。
「さあ、部屋までお送りします。早くお休み下さい」
その穏やかな態度に、しかしなぜか恐怖を覚えて一歩後ずさった。
ステファンは一歩前進。
「あ、あの…結構です、一人で」
「どうなさいました、勇者様」
ステファンの目は笑っていない。
「…鍵をかけたのにどこから入ったんだか」
「っ」
突然ステファンの口調が変わった。
「小娘が…」
ばき、と音がした。
ステファンの左手からだ。
<それ>はすでに人間の手の形をしていなかった。
黒い、さながら枯木のようにとがったそれ。ばきばきと音を立てて、金属のような光沢につつまれていく。
息がうまく吸えない。
「ま、魔物…?」
「正解」
遠くで何かを叩きつけるような音がしていた。
唐突に、背後から声がかかった。
エヴァは驚いて振り返る。
「ステファン、様…」
そこにいたのは、初老の司祭。
「足音がしましたので。若い娘がこんな深夜に歩き回るのは感心しませんな」
「ご、ごめんなさい…」
ステファンは柔和な微笑を浮かべた。
「さあ、部屋までお送りします。早くお休み下さい」
その穏やかな態度に、しかしなぜか恐怖を覚えて一歩後ずさった。
ステファンは一歩前進。
「あ、あの…結構です、一人で」
「どうなさいました、勇者様」
ステファンの目は笑っていない。
「…鍵をかけたのにどこから入ったんだか」
「っ」
突然ステファンの口調が変わった。
「小娘が…」
ばき、と音がした。
ステファンの左手からだ。
<それ>はすでに人間の手の形をしていなかった。
黒い、さながら枯木のようにとがったそれ。ばきばきと音を立てて、金属のような光沢につつまれていく。
息がうまく吸えない。
「ま、魔物…?」
「正解」
遠くで何かを叩きつけるような音がしていた。