勇者様と従者さま。
 訳がわからなかった。


 深夜、突然魔物の気配がしたと思って急いでそこに向かうと、鍵がかかっている上に中からエヴァの声がする。

 あれほど気をつけろと言ったのに、と腹を立てながらもなんとか扉を蹴破った(やたらと頑丈だったせいで随分時間がかかったが)。

 そうして飛び込んだアーサーが見たものは…

 倒れているステファンと、初めて見る剣を手に立ち尽くすエヴァ。

 しかもエヴァは寝間着姿である。

 一体どういうことだ。



 ステファンの腕にはエヴァの刺突によってできた傷が残っていた。

 傷の手当をすませ、ステファンを寝かせると、アーサーは妙におとなしいエヴァに向き直った。

「…どういうことか説明してもらう」


「我から説明しよう」

 思わぬところから声がして、アーサーは驚いた。

 いつの間にか、尊大な口調としわがれた声に似合わない幼い子供が立っている。


「我はシュリ。初に相見えるな」

 肌は白く、髪も瞳も白に近い銀。エヴァの言っていた真っ白な子供だ。

 アーサーはますますわけがわからなくなった。


 シュリは、軽く咳ばらいすると話しはじめた。

 その話は遠い過去にはじまった。

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