勇者様と従者さま。
3*ふたり旅
そんな駆け落ちみたいなことができるか!
魔物を倒した日から数日。
寝付いているステファンを放置するわけにもいかないので、一行は村にとどまっている。
シュリは、久々に力を使って疲れたと言って引っ込んでいた。
庭では、暇をもてあました討伐隊員たちが模擬試合など行っている。
エヴァが聖剣のあるじとなったことを知ると、隊員たちは喝采をあげた。
「聖剣の勇者様!」
「エヴァ様は本物だ!」
大騒ぎする彼らを鎮めるためにアーサーが数回怒鳴り声をあげたくらいだ。
そんなことを思い出しながら、エヴァはぼんやりと庭を見つめていた。
夕暮れどきである。
「エヴァ様」
ふいに名前を呼ばれた。
「…従者さま」
アーサーがこちらへ向かってくる。
「ステファン様が目を覚まされた」
「そう、ですか」
エヴァの表情がわずかに明るくなった。
「…もう、お亡くなりになったが」
「…」
「エヴァ様に感謝していた。…己の心の弱さのせいで取り憑かれ、苦しんでいたのを救ってもらったと」
エヴァは答えない。
唇を噛んで、俯いた。
「…あなたのせいじゃない」
アーサーは声をやわらげた。
「魔物と同化しすぎていたせいだ。もともと彼のたましいは限界だった」
寝付いているステファンを放置するわけにもいかないので、一行は村にとどまっている。
シュリは、久々に力を使って疲れたと言って引っ込んでいた。
庭では、暇をもてあました討伐隊員たちが模擬試合など行っている。
エヴァが聖剣のあるじとなったことを知ると、隊員たちは喝采をあげた。
「聖剣の勇者様!」
「エヴァ様は本物だ!」
大騒ぎする彼らを鎮めるためにアーサーが数回怒鳴り声をあげたくらいだ。
そんなことを思い出しながら、エヴァはぼんやりと庭を見つめていた。
夕暮れどきである。
「エヴァ様」
ふいに名前を呼ばれた。
「…従者さま」
アーサーがこちらへ向かってくる。
「ステファン様が目を覚まされた」
「そう、ですか」
エヴァの表情がわずかに明るくなった。
「…もう、お亡くなりになったが」
「…」
「エヴァ様に感謝していた。…己の心の弱さのせいで取り憑かれ、苦しんでいたのを救ってもらったと」
エヴァは答えない。
唇を噛んで、俯いた。
「…あなたのせいじゃない」
アーサーは声をやわらげた。
「魔物と同化しすぎていたせいだ。もともと彼のたましいは限界だった」